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■階級的労働運動を推進し11月岩国に集まろう! 中央労働運動指導委員会 コロナ危機をきっかけとして露呈した資本主義の危機とこれを土台とした経済・政治・社会の危機の進行は階級闘争の激化(具体的には闘う労働運動への弾圧)として表れてきている。弾圧に抗し、階級的労働運動建設の闘いを進めるため岩国・労働者反戦交流集会2021に結集しよう。 ●1章 コロナ危機の世界 新型コロナ危機は継続している。日本ではどうやら第五波は収束したようだといわれているが、この後、いつ第六波が来るのか予断を許さない状態だ。当初から言われていたことだが、激しく変異しやすい新型コロナウイルスは次々と新しい型が出現し、ワクチンが効かないだの、重症化しやすいだの、おどろおどろしい報道が続いている。効能があるかどうかは別にしても接種したほとんどの人間に副反応が出るような欠陥商品で製薬会社はぼろもうけをしている。ワクチンの有効性や是非の議論はさておき、ワクチンを打ちたくても供給が不足している国や貧困層にワクチンや医療が届かないといった現実が顕在化してきている。この状況で先進国ではブースターショット(三回目のワクチン接種)が議論の俎上に上がってきているのだから、これは差別以外の何物でもないだろう。もちろんウイルスは感染相手を選ばないわけだが、社会的に置かれている状況によって、被害の偏在がはっきりしていた。コロナ危機はますます、人災の度合いを強めている。 ジョー・バイデンがアメリカの大統領に就任した。「アメリカは帰ってきた」らしい。だが、トランプの外交との違いは同盟国をどのように活用するのかということしかないのであってアメリカ帝国主義の利益追求という線は完全に一致している。アメリカの覇権維持をかけて中国との対決に力をかけており、そのもとで東アジアの情勢が動いている(詳しくは後述)。中国に対抗する枠組みがいくつもつくられている。アメリカ、日本、オーストラリア、インドのQUADやアメリカ、イギリス、オーストラリアのAUKUSなど。いずれも超大国アメリカの実力低下のもとでの新自由主義の覇権維持のための新たな同盟の萌芽だ。 国際的には排外主義勢力と社会変革を求める勢力の双方が力を増し、階級対立が激化している。反共産主義の権化のようなアメリカで若者の社会主義への期待が高まっている。一方で、その同じ国でトランプの支持者が議会を襲撃したように排外主義者の活動も活発だ。欧州の社会民主主義政党の中でも一時のブレア的な「第三の道」の支持が退潮し、相対的左派が復権しつつある。しかしやはり、同時に反移民の勢力が根強い力を持っている。アフガニスタンではタリバンが復活した。ミャンマーは内戦化し、香港の民主派は弾圧に圧殺されたかに見える。 新自由主義、もっと進んで資本主義の終末が語られるようになっている。コロナ危機以前から言われていたことではあるが、あらゆる場所で危機が顕在化、拡大している。資本の側もこのままでは持たないという言動が出現している。ただし、彼らのそれは資本の権力を何とか維持しようというものであるのだが……。世界は臨界状態を迎えている。 「革命が到来するには、通常、『下層』がこれまでどおりに生活することを『のぞまない』だけではたりない。さらに、『上層』が、これまでどおりに生活していくことが『できない』ことが必要である」(レーニン『第二インタナショナルの崩壊』)。変革か崩壊か、革命運動の役割は重い。 ●2章 コロナ危機が明らかにした日本における新自由主義の決算 二〇二〇年から続くコロナ危機はこの国の政治のありようをあからさまにした。新自由主義政策下で進められた医療・福祉の切り捨ては、パンデミックの前で医療崩壊という最悪の形で結果を示した。最新の第五波ではピーク時の一日の患者発生数は過去最多の二五八五一人(八月二〇日)、重症者数も過去最多の二二二三人(九月四日)、累計入院患者数八〇万人超、自宅療養・宿泊療養は東京都のみで最大四万人超。過去四波の経験から行われてしかるべき病床数とそれに伴う医療従事者の確保は進まず、東京では二〇〇人以上が入院できずに亡くなった。 飲食業を中心に新型コロナ危機の影響を受ける職種では倒産、廃業から解雇、シフトの極端な減少といった形で、非正規労働者を中心に多くの人々が仕事を失った。最初の一律一〇万円支給以降、批判や窮状を訴える声に突き動かされるようにして弥縫的に生活保障の諸施策が打たれたが、あまりにも遅く規模は不十分であった。そしてようやくつくられた施策も審査が遅れ、必要な時に必要な場所には届かなかった。新首相岸田は、また一〇万円をばらまくつもりらしいが、余りにも露骨な選挙対策がどのような評価を受けるのかは今のところ不明である。 資本の側はコロナ危機を利用して、リモートワーク導入をてこに第四次産業革命(注1)を一層推進する機会とし、さらなる利潤追求をめざした。コロナ危機以前には抵抗の強かった労働時間管理の曖昧化(注2)は新型コロナウイルスに対する人々の恐れを利用しながらリモートワークという形で一気に進行している。生活空間での労働は時間管理を難しくする。一方で社会に不可欠でリモートワークなんかできない医療、福祉、物流といった産業は資本にもたらす利潤の小ささから「生産性が低い」とされ、労働条件が低く押さえつけられている。言葉だけはエッセンシャルワークなどと美しく飾られているが、割に合わない条件では労働者が集まらず、医療供給の不足に至っているのは先述の通りだ。介護のホームヘルプサービスでは有効求人倍率が一五倍を前後しているありさまだ。 人流を抑えろ、夜の街で飲むなと人々に忍従を訴える同じ口が、GoToキャンペーン、オリンピック、パラリンピックと、やれ、経済対策だ、感動だ、と矛盾したことを訴える。第五波の収束は専門家でも原因不明とさじを投げるようなありさまで、結局、緊急事態宣言やまん延等重点防止措置などが有効だったのかどうかも分からない。強行開催されたオリンピックに対しては、権力の規制に抗して、大規模な反対運動がとりくまれた。 一見、矛盾だらけの無茶苦茶な政策だが、命よりカネが大事とみれば、きわめて一貫している。生活に苦しむ庶民には届かなくても、経済対策資金で株式市場は不況下の株高、気が付けば富める者はますます富み、貧しいものはますます貧しくなっている。 ●3章 東アジアの軍事強化と人々の抵抗 コロナ危機下でも日米軍事一体化、軍事強化は進む。与那国島へのレーダー部隊配置に始まった軍事強化は宮古、石垣、沖縄、奄美の自衛隊ミサイル基地、辺野古新基地建設、馬毛島の米艦載機FCLP訓練拠点整備を名目とした航空基地/物資備蓄基地化と、次々と進められている。九州の築城や新田原といった自衛隊航空基地や沖縄のキャンプハンセンやキャンプシュワブといった米海兵隊基地では日米共同使用が進められ、ミサイル防衛の要として京丹後のXバンドレーダー基地が強化されている。韓国においても、住民の抵抗を力で排除して星州のTHAADミサイル配備が進められている。 各地の市民は粘り強く闘っている。自衛隊ミサイル基地建設と対峙する、宮古、石垣の市民。陸上自衛隊水陸機動団や米海軍揚陸艦の母港、佐世保の市民運動。米軍との共同使用のための基地拡張が狙われている築城基地と闘う二の日行動。日米軍事一体化の最前線、京丹後。横田(在日米空軍)や木更津(陸上自衛隊)のオスプレイや低空飛行訓練との首都圏の闘い。 そして、辺野古の闘い。コロナ危機下で従来の戦術が取れずに苦闘しているが、一〇月からは第一土曜日に従来の県民大行動に代わり、県内各地でキャンペーンを行うブルーアクションが開始された。防衛省は沖縄「県」の指導を無視して大浦湾のサンゴ移植を真夏に強行した。専門家によれば水温が高い時期の移植は失敗の可能性が高い。軍事の前には環境保護は後回しというわけだ。埋め立て土砂問題では南部戦跡からの採掘が争点化している。これは「県」の条例や西日本の採掘地各地の闘いによって沖縄外の土砂が使えなくなったという、ある意味運動側の勝利がもたらした事態だが、南部戦跡の土砂には沖縄戦時の死者の遺骨が今も残っており、ガマフヤー具志堅隆松さんや宗教者たちの訴えによりこれが争点化した。大日本帝国の侵略戦争の結果としての沖縄戦の犠牲者の遺骨を、米軍基地の埋め立てに使うというのは倫理的にも許されない。この問題はこれまで沖縄の闘いに冷淡であった「本土」保守派にとっても冷静ではいられないようで、地方議会での反対決議(ほぼ全会一致の事例が多い)が相次いている。 権力はコロナ危機すら利用しながら、反戦反基地に立ち上がる市民を抑え込もうとしているが、コロナ危機や相次ぐ自然災害はますます、「軍事力による平和」という考えがいかに間違っているかを示し続けている。基地強化より防災強化を! 軍事強化より医療の充実を! である。 ●4章 「扇の要」岩国航空基地 岩国基地は平時・戦時を貫いた重要なハブ基地(図1)としての本質をますます顕在化させている。北に韓国、南西に九州から沖縄にかけての日米軍事基地・部隊群、東には近畿や首都圏の基地群。滑走路と港湾の双方を備え、アメリカ海兵隊の基地(三五機、F35など)と言いながら、アメリカ海軍の艦載機(六三機、FA18など)が常駐し、普天間から空中給油機(一五機、KC135)が移駐し、海上自衛隊の航空部隊(三三機、P3Cなど)も同居する。アメリカ空軍や自衛隊のオスプレイが陸揚げされ、今年の日米合同軍事演習オリエントシールド21―2ではとうとうアメリカ陸軍のアパッチ攻撃ヘリ(図2)まで陸揚げされた。この際のアメリカ海兵隊岩国基地のフェイスブック記事があまりにも率直に現在の岩国基地の意義を示しているので引用する。 「岩国基地は一〇〇台以上の貨物と四機の米陸軍AH―64アパッチの陸揚げを支援した。陸揚げされたアパッチ四機は安全確認終了後、残りの訓練に参加するために岩国基地から離陸した。この輸送後方支援は、岩国基地が、陸揚げのための港湾施設と航空施設の両方として機能できることを示している」。 岩国行動がいかに重要な闘争なのか、アメリカ海兵隊自らが明らかにしてくれている。 ●5章 アメリカの戦略の変化と自衛隊の変質 アメリカの経済的、軍事的実力の低下は自ら認めざるを得ないところまできている。その中でアメリカの世界戦略は変化してきている。かつてのようにアメリカ一国で全世界に覇権を及ぼすことはできない。一方で強力な競争相手として台頭する中国の封じ込めは、アメリカの覇権維持のために重要度を増している。そのため、中東からの撤退とアジア太平洋地域の確保に乗り出している。二〇年に及んだアフガニスタン侵略戦争をはじめ、アメリカは中東に混乱だけを残して放り出した。そして、アジア太平洋の確保ではアメリカ一国の実力だけではなく、日本や韓国、オーストラリア、さらには遠くヨーロッパのNATO諸国の力まで動員しようとしている。 この間進んでいる軍事強化の実態の背景には、こうしたアメリカの戦略の変化に伴う日米安保の変質がある。かつては米軍が主力で自衛隊が後方支援を担うという関係性であったものが、米中対立とアメリカの戦略の変化の中で自衛隊が最前線での戦闘を引き受けるように役割が変化してきた。自衛隊ではこれを「生徒から戦友へ」などと称揚している。実際、京丹後などで細かい共同訓練や行事が積み重ねられ、末端の隊員まで反米軍基地運動に対して敵意を向ける始末である。そのための日米合同軍事演習や多国間演習(図3)が繰り返されている。この秋には陸上自衛隊による大規模機動訓練も実施されている。東日本の陸自部隊が物資ともども九州、沖縄に展開する。物資の輸送には民間会社の船舶や、民間用の岸壁も動員され、演習の開始時の報道はされたが、以降は追跡されていない。その総体が「自衛隊主体で戦争できる体制の準備」を強烈に示している。 こうした中で上述の重要なハブ基地としての岩国が日米両軍の要となってきている。各地での反戦反基地を闘う人々が岩国に集うことの意義はここにある。 ●6章 岩国市民の闘いを支えよう 二〇〇五年の米軍再編中間報告に初めて発表された艦載機移転計画と愛宕山へのだまし討ち的米軍住宅建設に端を発し、岩国市民は抵抗を続けてきた。二〇〇六年には住民投票を実施し、過半数の市民が艦載機移設を拒否した。国は補助金を停止し、市役所の建設が止まってしまうなどの鞭を振るった。広域合併で艦載機移設反対の世論を薄め、移設反対の井原前市長を追い落とした。しかし、市民は闘いをあきらめなかった。毎月一日、一一日、二一日の見守りの集いは粘り強く継続され、今年の夏で一二年目に入った。爆音訴訟は飛行差し止めを実現できなかったものの、先の判決を研究して第二次訴訟の追求が始まっている。「基地との共存」を掲げる福田市長の沖縄への公費出張問題も山口地裁に提訴し、公判は大詰めにきている。これは、福田市長が行政上の視察と銘打って岩国市の公費で沖縄に行ったにもかかわらず、実際にはほとんどの時間を政治活動である宜野湾市長選の応援に使っていたというものである。この時応援した松川候補(現宜野湾市長)は辺野古新基地推進側の勢力である。 先述の岩国基地の位置を鑑みれば、この岩国市民の闘いを全国の反戦反基地の闘いの重要な拠点として応援していく必要があることがわかるだろう。 ●7章 階級的労働運動建設の闘いと弾圧の拡大 われわれの労働戦線の闘いはどうなっているだろうか。岩国・労働者反戦交流集会実行委員会に結集する労働組合・労組活動家は、党の内外を貫いてそれぞれに階級的労働運動建設の重要な闘いを担っている。コロナ危機下での活動の困難は共通して抱えながらも、全国一般労働組合全国協議会とその加盟労組がけん引する最賃一五〇〇円を目指す社会的キャンペーン。あるいは外国人を権利ある人間として処遇しないという日本の排外主義的入管体制の労働現場への表れといえる外国人技能実習生問題との闘い。あるいは世界標準ではあっても、日本ではほとんどできていない産業別労働組合(注3)建設の闘いを切り開いている全日本港湾労働組合(以下全港湾)や全日本建設運輸連帯労働組合(以下全日建)。以上のように、いま日本社会の労働者が直面する重要な課題を積極的に闘っている。これに対して、権力の不当な弾圧が激しさを増している。 全日建関生支部の弾圧は一連の刑事事件の一審判決が出始めている。「雇用関係がない企業への行動では労働組合としての刑事免責は考慮しなくてよい(大阪事件)」といった産別労働組合の否定(注4)や、「(不当労働行為をしてくるような企業には)直接要求ではなく提訴すべき(京都事件)」(注5)といった、もはや労働運動自体の否定にまで至るような不当な判決が続いている。法廷と大衆運動の両面で何としても跳ね返さなくてはならない。 弾圧は拡大している。埼玉では韓国サンケン労働者支援の闘いで市民が逮捕、起訴された(注6)。当該はいまだに自由を奪われたまま(一〇月八日現在)である。ユニオン北九州は地域合同労組ではごく当たり前の申し入れ、抗議行動に対して、家宅捜索、組合執行部の任意同行が求められた(注7)。京都でのJAL争議宣伝行動や、ケアワーカーズユニオン山紀会支部の抗議行動・支援集会でも公安警察の監視が目撃されている。民主労総委員長の逮捕にも見られるように労働者への弾圧は国際的にも強まっている。だが、労働者がこれに屈服するわけにはいかない。資本の利益のために今や命すら犠牲にするような政策、人民の安全に対する無策の下で不満を抱える多くの大衆と結合し、反撃していかなければならない。 労働運動の要は団結である。団結は目の前、今だけ、自分だけでは実現しない。仲間への攻撃は、自分への攻撃。仲間の痛みはわが痛み。そして資本と対峙する仲間は国境を越えてつながっている。 国際的な資本移動のもと、無権利状態で働かされるアジア・アフリカの労働者、あるいは日本やヨーロッパ、アメリカで働く移民労働者、社会的には必要とされながらも、低賃金と危険を負担させられる〝エッセンシャルワーカー〟、これら労働者の利害が資本との対峙のもとでつながっている。排外主義の強化として表れている私たちへの分断攻撃をのりこえよう。 労働者の自覚は闘いの現場で生まれる。個別に攻撃されているだけではそれが自分一人の問題なのかみんなの問題なのか、攻撃の渦中にいて自覚するのは難しい。ともに反撃する中で、私たちは労働者としての自覚を成長させていく。その意味で労働者反戦闘争は、戦争攻撃という形で国際的に私たち労働者にかけられている攻撃を自覚するうえで極めて重要だ。現地で闘い続ける岩国市民や各地の反基地闘争、そして普段は全国で別々に闘っている労働運動の仲間と触れ合う、これが、バーチャルに資本の側から煽られている偽物の脅威の幻想に打ち勝つ最良の薬である。岩国・労働者反戦交流集会実行委員会に結集する労組活動家は階級的労働運動建設の一つの核となる部分だ。コロナ危機はいまだ継続しているが、最大限感染防止に努めながら、岩国からこの闘いを進めよう。 (注1)第四次産業革命:第一次産業革命(水力や蒸気機関による工業の機械化、一八世紀末)、第二次産業革命(電力、大量生産、二〇世紀初頭)、第三次産業革命(オートメーション化、一九七〇年代初頭)に続く、第四の産業革命。IoT(モノのインターネット化)、ビックデータ活用、AI化などにより生産効率が極端に向上し、人間労働のAI、ロボットへの置き換えが進む(以上内閣府の定義による)。 (注2)労働法の改悪課題としては裁量労働制の拡大やホワイトカラーエグゼンプションなどがあたる。 (注3)産業別労働組合はある産業全体を組織化し、その産業に従事する労働者ならだれでも入れる。元請、下請け関係や正規、非正規などの雇用身分は関係ない。業界団体と集団交渉を行ない、企業単位の労働条件ではなく、産業全体の労働条件を向上させる。したがって労働者は会社よりも労働組合員(あるいはこれを通して当該産業の労働者)としての自覚を持つ。 (注4)産別労働組合では産業全体の労働条件向上を目指す関係から、雇用関係がない職場であっても集団交渉の協約を守らない企業に対しては争議権を行使しなければならない。そうしないと協約が無効化されてしまうからだ。全日建関生支部の今回問題とされた事件は二〇一七年の輸送ストに対するものである。ストライキの原因は集団交渉の相手である大阪広域生コンクリート協同組合が協約の生コン輸送運賃値上げを実施しなかった(つまり先に協約を破っているのは使用者側)からである。輸送運賃が上がらないと生コン輸送専属の会社で雇われている労働者や日々雇用の生コン輸送労働者の労働条件の向上が勝ち取られない。また、有罪とされた争議行為の内容は会社側、労組側双方の映像記録が残っており、組合の行動は運転手へのビラ撒きと説得に終始しており、ピケットなどによる工場への出入りの阻止など厳しい闘いは行っていない。工場の門前で運行の阻害をしていたのは会社側の自作自演であることも裁判で明らかにされている。また、会社側は実際には労働組合がやってくることに備えて出荷を予定していないなど実際の被害もない。こうした意味でも、大阪事件の有罪判決は極めて不当である。 (注5)加茂生コン事件。正社員化を要求し、組合加入をしたとたん、会社による嫌がらせが始まり、例年問題なく出されていた子どもの保育園通園のための就労証明を突然拒否するなどを会社がしてきた。検察の主張では正社員化の要求、就労証明の要求それ自体が不当(要求するなってことか!?)というものだった。さすがに裁判所はこの検察の言い分は認めなかったが、団交中に「体調が悪くなった」と経営者が主張して以降は合法的な組合活動ではないと判示した。裁判所いわく、そうなったら争議権や団体交渉権の行使ではなく、裁判に訴えなければならないとする。はっきり言って、これが判例で確定すると労働運動はさらに手足を縛られることになる。必ず跳ね返さなくてはならない。 (注6)サンケン本社の警備員に対する「暴行罪」がでっち上げられた。家宅捜索では当該の配偶者が病気で応対できないにもかかわらず、捜査員はカギを壊して長時間居座った。 (注7)日鹸運輸の親会社に対する申し入れ。日本の多重下請け構造のものでは下請け会社自体が単に雇用責任を逃れるために別の会社になっている場合が多い。この事例でも日鹸運輸の人事や指揮命令も親会社が仕切っており、ユニオン北九州との団体交渉にも親会社の人間が出席していた。 |
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